「82年生まれ、キム・ジヨン」アフタートーク

2020年12月5日に、福島市にあるフォーラム福島にて、「82年生まれ、キム・ジヨン」のアフタートークを開催いたしました!

 

映画鑑賞後、当団体共同代表の二瓶由美子(桜の聖母短期大学元教授・ジェンダー法学)と松谷基和さん(東北学院大学准教授・韓国近現代史)が登壇し、当団体共同代表の前川直哉(福島大学特任准教授・ジェンダー史)の司会のもと、映画の感想やそれに関連する現代社会の課題などについて話をして頂きました。

 

その後、参加していただいた皆さんからも自由にお話をしていただき、会場全体で女性の生き方やジェンダーについて考えを深めました。

 

以下、登壇者の発言を簡単に要約して記載します。

二瓶:若いフェミニストの間で「キム・ジヨンは私のことだ」という声が上がっていることを知って私は原作を読んだ。キム・ジヨンよりも前に生まれた私が経験したことを、82年生まれのジヨンも経験しており、それが衝撃的だった。


「男はこういうものだから仕方ない!」「男の子ってバカだよね!」と、男性の暴力や無神経を温存させるジェンダーが問題であり、それが性暴力や女性蔑視に繋がっている。性暴力や女性蔑視は、個人の問題ではなく、社会構造的な問題である。


松谷:この映画で描かれているような女性が直面する問題は、日本に通ずるものであるが、日韓では時差がある。日本が民主化されたのは1952年だが、韓国は1987年である。民主化されたことによって韓国では社会に対する異議申し立てができるようになったため、日本よりも遅れて女性蔑視の問題が取り沙汰されることとなった。

 

原作では学校教育において男性教員が横暴である様子が描かれており、軍国主義的な印象を受ける。80年代においてもそのような状況であったのは、日本による韓国支配の際の軍国主義が影響しており、韓国社会はそこからまだ逃れられていなかったからである。

日韓で同じような問題を共有できると感じることはあると思うが、その背後には日本の軍国主義が影響しているという複雑なものなのである。

 

前川:映画を見ていて切ないなと思ったのは、夫が分かりやすい悪人ではないものの、どこか残念な部分があるところ。夫だけが悪いというより、社会全体の問題である。大学で学生にライフプランを考えてもらうと、育児について書く男性は一人もいない。その一方で女性は育児や仕事の中断について考えている。

 

二瓶:Publicな仕事とCare労働の価値を平等に考えるような価値観の大転換がないと、男女共同参画社会は実現しない。スーツを着てビシッとしているだけがいいのではなく、子連れで出勤してもいいじゃないかというような価値観の転換が必要。「フェミニズムは偉そうな学問やビジネスではなく、女性の日常のことである」ブレイディみかこさんの発言があるが、その通りである。

 

松谷:韓国社会においては、男女だけでなく年齢でもCare役割を担わされている。年上は年下を世話しなければいけないというのもあり、男性は「男として」や「先輩として」何かしてあげなければならず、Careという文脈から逃れることができない。日本も似たとことがあり、その点は日韓で分かり合えるものである。